「少子高齢化」で国力に深刻な影響を及ぼすことが予想される日本。国力の衰退を防ぐにはどうすべきか、大前研一氏が提言する。 * * * 少子化による国力の低下に歯止めをかけるには、抜本的な少子化対策が不可欠だ。そのための一つの方法は移民の受け入れである。今の日本は定年退職する人が毎年80万人いる一方で、新たに労働市場に入ってくる人は同40万人しかいない。ということは、年間40万人の移民を入れなければ現在のGDPを維持することすら不可能だ。 日本は移民に対する拒否反応が強いが、世界には移民を経済成長の起爆剤に使っている国がたくさんある。 たとえば、オーストラリアは1901年に制定された移民制限法に基づく「白豪主義」(白人最優先主義とそれに伴う非白人への排除政策)により、人口は約1600万人にとどまっていた。しかし1972年に白豪主義を撤廃後、台湾、香港、シンガポール、中国から華僑を中心に約600