東山画伯と建築家であった父(吉郎)とは親しく、そのため私も画伯の作品には興味を持ち、以前に展覧会の展示・構成のお手伝いをさせていただいたこともありました。このたび、東山画伯のご意向で美術館の設計を担当させていただき、大変光栄に思っております。美術館に展示される作品は、伝統的な日本画であると同時に、現代を代表する独創的な作風となっています。従って、この美術館の設計もいわゆる和風建築ではなく、現代の日本を表現するような建築を目標としました。 今回の設計で考えたことは、言うなれば展示作品の額縁になるような建築にするという方針です。額縁は絵よりも目立ちすぎて鑑賞の妨げになってはいけないし、絵を守る役目もある。「簡潔な意匠と十分な機能性」ということから発想しています。建物の壁には石を使ったらという話もありましたが、あまり重厚な材料は作品の特徴である繊細さと調和しません。ですから、軽快感を出すためにア