2016年2月17日(日本時間)に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」について、前回の記事「空前絶後の高精度、日本のX線天文衛星がすごすぎる 30年来の期待を乗せて『ひとみ』が宇宙に飛び立った」にてご紹介しました。 しかし続報はきわめて痛ましいものになりました。観測機器が順調に立ち上がり、試験的な天体観測を始めた矢先の3月26日、軌道上のひとみに異常が発生し、通信が途絶しました。 地上のレーダーや望遠鏡をひとみに向けたところ、いくつもの破片が飛び散り、本体はくるくる回転していることが分かりました(人工衛星のトラブルの状況がこうして地上から観測されるのは異例です)。過去の科学衛星が経験したことのない、深刻で過酷な事態です。 地上のすばる望遠鏡で撮像した軌道上のひとみ。約40秒間隔で3枚撮像。ひとみが回転しているため、角度と形が変化して見える(姿勢が安定しているなら、全て同じ姿に見えるはず)。