「もうピッチャーに未練はない。ピッチャーでは無理だったけど、野手ならリハビリしながらやっていけると思う。もう自分は野手って決まりましたので、今年は野球に没頭したい」。鳴尾浜での自主トレで1月から始動している一二三慎太選手 イチかバチかの人生の選択である。 2年目を迎える阪神・一二三慎太が野手へ転向することを決めた。東海大相模高校時代は、エースとして3年夏の選手権大会で準優勝。右肘を下げて投げ込む彼の姿は、本来のポテンシャルからすれば物足りなかったとはいえ、当時の高校生を代表するピッチャーの一人だった。 その一二三が右肩の故障が癒えないことを理由に、投手を断念し、野手に転向するのだ。大きな賭けであるし、『投手・一二三』を失うことは日本の野球界にとっては損失である。 だが、一二三には、もうひとつ、こんな声があったのも事実である。 「一二三はバッターとして将来性のある選手」。 高校3年の夏の甲子