総コメント数:1 エンタメ・モノ 小説 ~概要~ 「わたしの心臓がわたしにとってよそ者になっていた」 この本は、著者が自らの心臓移植の体験に触れた、深い哲学的な洞察に富んだ本です。著者のジャン=リュック・ナンシーはヘーゲルやハイデガーを経て、フーコー、ドゥルーズ、デリダを引き継ぐ現代フランス哲学の第一人者です。そのナンシーが、10年前に心臓移植を受けたのはあまり多くの人には知られていない事実です。本書は、雑誌『デダル〔迷宮〕』の特集「外国人の到来」に寄せて初めて自らの心臓移植体験を綴った文章の翻訳です。 ここでは移植のみならず、その後に待ち受ける免疫抑制、ならびに抑制剤に起因する癌襲われたプロセスなどが淡々とした、しかしそれ故に重みのある文章で綴られています。さらに心臓移植という、いわば〈他者〉の心臓で生きていることの意味を求めて、「命」とは何か?〈他者〉を受け容れるとはどういうことか?〈