「自分らしく生きる」 周囲の目やしがらみから「自由」になるための価値観として讃えられることの多いこの言葉は一方で、承認欲求を際限なく求めてしまう「罠」にもなる。 摂食障害の当事者の調査・研究を続けてきた文化人類学者の磯野真穂さんは、自著でそう指摘します。 「『自分らしさって何だろう』と自分に注目することは、『他者』に注目することでもあるから」 どういうことなのか、話を聞きました。 「自分探し」は、かたちを変えた承認欲求――いつから「自分らしさ」に目が向くようになったのですか? 磯野:アメリカでの留学を終えて日本に帰国した2003年ごろです。個人的な実感ではあるのですが、それまでの「語り」の風景が変わった、と気づきました。 それまでのヒット曲は誰かへの募る思いを込めたラブソングばかりだったのに、「あなたはあなたでいいんだよ」「ありのままで」「夢を追いかける」というメッセージがあちこちで流れて
![「自分らしさ」は探さない。|Torus (トーラス)by ABEJA](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/84d94f9302d116942966df9e0d25b59afc376d59/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F18923790%2Frectangle_large_type_2_061dc5757adecbfc0cc064489015251b.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)