2017年、人工知能(Artificial Intelligence)という言葉をビジネスの現場で聞かない日はありません。車を自動で運転し、消費者の質問に何でも答え、マーケティングの効果予測を行い、人の採用をサポートし、農作物の病気を予防する――。まるで人工知能は万能で、あらゆる問題を解決するヒーローのようです。 一方で、人工知能と呼ばれているシステムを詳しく調べると、単なる重回帰、あるいは決定木にすぎないものも多く、デジタルマーケティング領域で人工知能を研究している私としては「それで人工知能と呼んでいいの?」と考えさせられるケースも少なくありません。 昨今、人工知能という言葉が、会社や製品をアピールするための「マーケティング用語」として使われる機会が増えています。それ自体は悪い話ではないと思いますが、中身が伴わない人工知能の乱造は、悪貨が良貨を駆逐するような事態につながらないでしょうか。