たいていの作家は、初期作品に佳品が多い。昭和の文豪・松本清張もそうで、彼が昭和32年に発表した「地方紙を買う女」は、繰り返しテレビや映画で映像化されてきた。 都内に住む心中を装った殺人事件の犯人が、地方紙を短期間購読したのを不審に思った作家が謎を解明していくという筋立てだ。 「地方紙を買う男」の目私も犯人ではないが、「地方紙を買う男」の一人である。仕事柄、各地を旅することが多いが、駅に降り立つと必ず地方紙を買う。小学校の運動会やコメの出来具合などご当地新聞しか報じない情報満載で重宝する。最近は、有料のデジタル版で読める地方紙も増えており、いくつかは期間を決めて購読している。 沖縄の琉球新報もそのうちの一つだ。視点が弊紙とは百八十度違うので、勉強になる。9月25日付の1面を飾った「『心は折れない』言葉から勇気 新基地抗議の市民思い新た 安和事故 被害女性に寄せ書き」という記事もそうだ。 琉球