大杉漣、最初のプロデュース作にして最後の主演作 なぜ、生きるのか──。“死”の側からとらえた強烈な“生”の物語 牧師の佐伯は、半年前に着任したばかりの教誨師。彼が面会するのは年齢、境遇、性格の異なる 6 人の死刑囚。皆、我々と変わらない人間でありながら、どこかで道を誤ったり、ちょっとしたボタンの掛け違いによって取り返しのつかない過ちを犯した人々。他の受刑者と顔を合わせることなく、家族にも縁を切られ、独房で孤独な生活を送る彼らにとって、教誨師はよき理解者であり格好の話し相手。真剣に思いを吐露する者もいれば、くだらない話に終始したり、自らの罪を全く顧みない者もいる。一方の佐伯は彼らに寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、そして死刑囚たちが心安らかに死ねるよう導くのは正しいことなのか苦悩する。 その葛藤を通して佐伯もまた、はじめて忘れたい過去と対峙し、やがて自らの人生と向き合うこと