●ロバート・ゼメキス監督「ベオウルフ/呪われし勇者」(2007) これはなかなかの傑作。 脚本がすばらしい。英雄ベオウルフから晩年のベオウルフ王のあいだをまるごと省略したのが実にうまく、勇者たちの野卑さもよく出ているし、最後は怪獣映画になる点もいい。個人的には、足の不自由な奴隷の繰り返しギャグが好き(真面目な方、ごめんなさい)。 問題は演出にある。CGと実写の区別がまったくつかないのだが、そのわけはテクノロジーの進歩ではなく、俳優のメークや扮装のほうをCGに合わせているからだ。もしかしたらデジタル処理も施しているかもしれない。おかげで生身の俳優(特に女性)がみんな人形みたいに見える。本末転倒もはなはだしい。 かつてのゼメキスは手堅い演出とユーモアを兼ね備えたすぐれた監督だったが、SFXに淫しはじめてからおかしくなり、デジタル技術により完全にトチ狂ってしまった。どうやら「デジタル