南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「む、これは、おれ好みの作品」 山形市七日町のコミック専門店「コミパラ」をぶらついていたら、久しぶりにビビッとくるものがあった。 マンガ大賞2012にノミネートされた榎屋克優の『日々ロック』(集英社)である。表紙から漂う異様な汗臭さ、ギターを担いだ少年の尋常ではないダサさ、脱力を誘うデザインやオビ。かなり強烈なドン底臭に引きつけられてしまった。過去に取り上げた東陽片岡やいましろたかし、吉本浩二の作品にも通じる、行き場のない野郎臭というか。 私が見かけたときは、マンガ大賞2012にノミネートされた後の時期で、ノミネートをきっかけにオビが差し替えられてあった。しかし、そのオビもなんだか、マジックペンで書き殴ったような文字。タワーレコードやヴィレッジ