不正指令電磁的記録に関する罪、いわゆる「ウイルス罪」が2011年に新設されたきっかけは、さらに10年前の2001年までさかのぼる。 同年11月23日、ブダペスト。欧州評議会を中心にまとめた「サイバー犯罪に関する条約(サイバー犯罪条約)」に、日米欧など30カ国が署名した。 この条約の狙いの1つに、不正アクセスや不正傍受、妨害などの犯罪を実行する目的でプログラムを作成・提供する行為を違法とするよう、参加国に国内法の整備を促すことがあった。 それまでサイバー犯罪について各国の法制度がバラバラで、国をまたいだ捜査に支障をきたしていた。各国の法制に共通の指針を作り、国際捜査を円滑にする狙いがあった。 当時の国内法は、ウイルスの開発や提供自体は処罰の対象ではなかった。1987年の刑法改正で「電磁的記録不正作出罪」「電子計算機損壊等業務妨害罪」などのコンピューター関連犯罪が法制化されたが、スタンドアロン
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