観世流シテ方・片山九郎右衛門 「改元がなければ上演できないので、まさか自分が演じるとは思いませんでした。興奮しています」-。京都能楽界を牽引(けんいん)する観世流シテ方、片山九郎右衛門(54)が、新天皇の即位を祝福する能「大典(たいてん)」に主演する。大正天皇即位を祝って作られた曲で、上演されるのは平成への改元以来、約30年ぶりとなる。(飯塚友子) ◇ 能「大典」は大正4年、京都・片山能楽堂で初演。内容は、天皇の即位式大典の奉告祭が行われたところ、天津神(あまつかみ)(九郎右衛門)が天女(味方玄)を引き連れ天下り、新たな御代(みよ)を祝福して舞う-という奉祝能で、御代替わりを祝う曲のため過去数回しか上演されなかった。最近では平成2年、熱田神宮(名古屋市)での即位の礼祝賀行事で披露されたのが最後となる。 作者は旧京都帝大の独文学者、藤代禎輔(1868~1927年)。夏目漱石の友人で、万葉集の