小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」による健康被害の報告が相次いでいる。どこに原因があったのか。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「サプリから検出された『プベルル酸』が原因である可能性が指摘されているが、専門家は『現時点では断言できない』と慎重な姿勢を崩していない」という――。 どうやってサプリに「異物」が混入したのか 小林製薬の紅麹サプリメント問題は入院患者が3ケタを超え、死者も5人と報告されています。台湾でも、被害報告が出てきました。サプリと症状の因果関係は確定していませんが、原因物質としてサプリから検出された「プベルル酸」の疑いが浮上しています。 前回、〈なぜ「紅麹サプリ」で死亡例が起きたのか…健康に良いとされる「機能性表示食品」の制度的な欠陥〉と題して、制度の問題点を探りました。 今回は、「プベルル酸の性質」「どのような経路でサプリメントに混入したと考えられるのか」「こうしたカビが作る
欧州連合(EU)の農業補助金の82%が、温室効果ガス排出量の多い畜産業の支援に充てられている可能性を指摘する論文が、Nature Foodに掲載される。この知見は、1986年から2013年までのデータ(現在入手可能な最新のデータ)に基づいたものであり、82%という値は、これまでの評価で示された値よりも高い。 世界の食料システムは、温室効果ガス排出量全体の約3分の1の原因となっており、世界の居住可能な土地の半分に依存し、世界の水消費量の80%(推定値)を占めている。EUの共通農業政策(CAP)は、農業を環境にやさしい方向へと導く上でのカギとなっており、動物性の食餌からの脱却は気候変動緩和のための戦略の1つとなっている。 今回、Anniek Kortleveらは、物量の流れを把握する食料・農業系バイオマス投入産出(FABIO)データベースの1986~2013年のデータを使用し、これを農業会計デ
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