Rockのブロックダイヤグラムで特徴的なユニットは、命令キューに命令を戻す延期命令キューという構造である。この延期命令キューは、次に述べるように、Rockのシングルスレッド実行性能向上の鍵となるユニットである。 RockはScout(偵察)という動作モードを持っている。このモードでは、L1D$のミス、uDLBミスや割り算命令などの時間が掛かる命令に遭遇すると、実行中のスレッドのアーキテクチャレジスタの状態をチェックポイントとしてフリーズする。そして、このアーキテクチャレジスタの状態を0サイクルで、ペアのスレッド(スカウトスレッド)のアーキテクチャレジスタにコピーし、スカウトスレッドは時間の掛かる命令が終わったかのように先の命令の実行を続けていく。これは、ソフトウェアの用語で言うとforkに相当する。 スカウトスレッドの動作を、発表における説明を元に筆者の推定を含めて作ったのが次の図である。