本書はネットワーク不正侵入やクラッキングの実際をリアルに描いており、単にハッキングものの読み物としてだけではなく、ネットワーク管理や不正アクセス対策に取り組む技術者、情報セキュリティに関する研究者が攻撃者の視点から不正アクセスの実状を理解する上でも参考とすることができる。 多くのハッカー本やメディア報道がハッカー(クラッカー)を神格化し、天才的な少年がいかに高度なテクニックを駆使して軍事ネットワークの奥深くから国家秘密をいかにして盗み出すかといったようなストーリーを描きたがる一方で、本書はハッキング/クラッキングの現実を極めてリアルに描き出すことに努めている。共著者の一人であり自ら情報犯罪で投獄されたことで知られるケビン・ミトミック氏が誇張や捏造を排除するため自ら信頼性に高いハードルを設けて実施した取材をベースとしており、現実感の高い内容になっている点は評価したい。 特に不正侵入を行う攻撃