「一つ、欲しいものがある」。これまで頼みごとをすることのなかったデスパイネ外野手が珍しくチームスタッフにお願いごとをしていた。球団公式キャラクターであるマーくんの大きなぬいぐるみが欲しいと言う。お立ち台に上がった選手だけがもらえるヒーローマーくん。それを「特別にもらえないか」と嘆願をしてきた。 「今日、どうしても渡したい人がいるんだ。残念ながら今、手元になくてね。なんとか一つだけ特別に用意してくれないか。次、ヒーローになった時に返すから」 □ ■ □ 渡したい人。それは75歳になるQVCマリンフィールドの球場運営に携わる警備員だった。9月28日のホークス戦を最後に9年前からの務めを終える。それを伝え聞いたデスパイネは最後にサプライズのプレゼントを用意したかった。その熱い気持ちに、本来はヒーローになるまでは手に入れられないルールだが、特別に前借りが許された。
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