たとえば蒼井優さん。 「高校3年のときに宝塚を受けたんですけれど、試験日が舞台の本番と重なって」断念。そして「この仕事をするまで見た映画は『ドラえもん』だけでした。岩井(俊二)さんの作品(リリィ・シュシュのすべて)が最初だったので、自然と映画の話が続いて…」と笑う。 なんという才能。蒼井優さんが画面の中で動いているというそのことだけで、涙が溢れてとまらないわけだし。蒼井優さんの新作は、常に、激しく待たれている。 はたまた菊地成孔さん。 「結論から言うと、冨永監督の最初の脚本と同じで、作り過ぎたわけね、音楽を。」(菊地成孔談) 「結論から言うと、このアルバムには作り過ぎたものすべてが、映画のプロットを無視して収録されているわけです。」(担当ディレクター談) あんなに素敵な音楽を、あたかもはき捨てるかのように「作り過ぎ」てしまうこと。この世に流れる時間を、音楽で満たさねば気が済まないというかの