唐獅子の描かれた襖の向こうで気配がします。 主人の楢崎トキさんが、半ば冗談で作らせたウグイスバリの廊下が、 キュッ キュッと人の接近を知らせます。 トキ: ほら、紫麗はん、早く隣りの部屋にお行き 紫麗: 早いな トキ: もうそこまで来てはりますよって。 お酒なんて後でいいでっしゃろ シン: 紫麗、早く早く 襖一つ隔てた隣りの部屋で、 紫麗さんを急かすシンさんの姿があります。 楢崎家の執事: トキ様、リュウジ護民官がおみえです トキ: ご案内し トキさんがそう言うと、執事さんに誘われて姿を現すリュウジさんの姿があります。 リュウジ: 出資の件、ご考慮頂けたでしょうか トキ: 元々、少ない思うとりました。 しかし、世の中、理解出来ない人が多くて大変どすな。 で、いか程 リュウジ: 10億ほど リュウジさんは、心持ち胸を反らすような格好です。 それを見て、突然笑い出すトキさん。 トキ: 大きく