豪華キャストの中でも残虐非道な殿様の異常っぷりを淡々と演じた稲垣吾郎が素晴らしいとか、50分にも及ぶ殺陣が圧巻だとか、「武士道」という建前を根拠とした殺し合いの虚しさを上手く描いているとか、リアリティに拘りつつも三池監督得意のバイオレンス表現とエグ味が全開とか。以上どれにも特に異論はない。 そうした目下「退屈」とは無縁と評判の「時代劇」エンターティメントについて書くのに、このタイトルは何なんだ‥‥ということだが、遅ればせながら話題の映画を見に行っての第一印象は、細部の面白さや見所だらけのチャンバラ乱闘シーンなどにも関わらず、全体としてなんだか物足りない、釈然としない、「よく出来てるけどそんなに言うほどのものか?これ」であり、筋としては極めて単純な話を2時間半に渡って盛り上げるための衣の部分が分厚過ぎて中身の肉がいまいち薄いみたいな、脂っこいけど噛み応えがないみたいな、なんかすごく派手なもの