大雨、洪水、台風、ハリケーン、干ばつ、熱波、寒波などのめったに起こらないイベント(異常気象・極端気象)を扱う学問は「極値統計学」と呼ばれ、マスコミでもしばしば報道されている。しかし、極値統計学から得られた結果には不確実性があり、異常気象の起こる原因を特定したり、何年に1度起こりうるかを正確に予測することは難しい。 1.「記録的な大雨」をどう解釈するか? 近年、地球温暖化の進行に伴う極端現象の増加とそれに伴う災害への社会の関心が高まっている。台風災害についていえば、「100年に1度の記録的な大雨」「未曾有の豪雨」、「これまで経験したことのない大雨」、「観測史上最大の雨」などの表現も頻繁に目にする。例えば、2018年に広島県に土石流を引き起こした豪雨は、「未曾有の豪雨」だという。アメダスの観測網が整備されたのは1970年代以降なので、そこから50年間でいえば確かにこの大雨は「観測史上初」であっ