三十歳前後からまわりの女たちの半分くらいが変な感じになった。結婚するとかしないとかできないとかしたくないとか、そういうことをやたらと言うようになった。わたしは全員に「そお」とこたえた。そんなの好きにすりゃあいいじゃんねえ、と思った。日本における結婚は自由意思に基づく契約行為である。契約内容は民法で決まっていて、その効力は当人二名のあいだに及ぶ。それから養育される子どもや相続が発生しうる親族には関係がある。でもそれ以外にはまったく関係がない。どうして契約主体でない他人の結婚をとやかく言うのか。まして友人の結婚相手なんか完全にどうでもいい人である。そんなのをやいやい話の種にするなんて変だなと思った。 結婚しないのかとわたしに訊く友人もあった。わたしは何も考えず「しない」とこたえた。どうしてと問うので「必要ないから」とこたえた。あれはないわ、と同席していた別の友人があとから言った。あれは嫌われる
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