クーラーの効きすぎたオフィスや家にいると体が冷えるので、家の近所を夕方から夜にかけて散歩することがある。上海の街はどこもかしこも開発されまくっていて、ビルとか夜景とか正直いってぜんぜん好みじゃないけれど、川が多いのはいいと思う。夕暮れだけは上海も悪くない。そこら中を意識の高い上海人ランナーが走っているので、暗くなっても歩いていて怖くないのがいい。 むわっとする空気の中、川沿いの道を音楽を聴きながら歩いていたら、いま周りにいる人たちみんな言葉が通じないんだな、なんて気楽なんだろうという気持ちになってくる。寂しい気持ちもあるけれど、日本にいるときだって基本的には寂しかったわけだし、誰といても寂しいんだろうから次はまたどこに行ってもいいんだと想像する。 むかし中島らもか何かの本で「トンカチで頭をたたき続ける人生」というのを読んだことがある。トンカチで自分の頭をゆるく一定のリズムで殴り続けると、当