プロになれなかったら意味がないと思いますか。演劇を始めたころの私はそう思っていました。演劇を仕事にして食べていけないんだったら、それは自分の努力が足りないか、圧倒的に才能がないか、超・運が悪いか、食らいつく精神的強さが不足しているか、そのすべてか。それだったら自分って本当に価値がないだろうなあと思っていました。 そんな私は今、舞台演劇だけでは食べていません。もう少し広い意味で、役者だけで食べているかといわれてもノーです。演劇に関係のある仕事は、演劇部の指導員やコンクールの講師。そこまで含めても、生活できるほどの収入はありません。でも、私はたまたま運よく、今も演劇に関わり続けています。21歳の時に通った俳優養成所の同期生は21人いましたが、演劇を続けているのは片手で数えられるくらいです。東京で演劇を専業にしている人は一人もいません。つまり誰も売れませんでした。ただ、続けている人は働きながら地