「旅芸人のいた風景」という本を読んだ。 江戸時代から昭和の中頃にかけて存在した、全国を巡業して回る旅芸人たちについて書かれた好著。 特に、播磨の国の「高室」という村に関する記述が面白かった。 高室は、現在の兵庫県加西市に位置する小村。この村は、中世の時代から陰陽師の集団が住んでいたという。 彼らは日常の仕事として加持祈祷や占いをおこなう一方で、正月には近隣の都市や村々を回って万歳を演じていた。 しかし元禄年間ごろから、それだけでは生活ができなくなってゆく。 困窮した村人たちが選んだのは、陰陽師の仕事を捨てて、歌舞伎芝居の一座を結成することだった。陰陽師頭だった高崎家が座元となったというから、村ぐるみの選択であると言える。 村の言い伝えによると、大坂から流れてきた歌舞伎役者が村の若者に芝居を教えたのがきっかけだったらしい。 万歳は正月だけしかできないが、芝居ならば一年中収益を上げられる。理屈
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