政治家でもなんでもそうなのだが,私の中である人物が信頼に値するかどうかの判断基準として,「人間を第一に考えているか」というものがある。当たり前のことだろうと言われれば当たり前のことなので,もう少し敷衍して言うと,何かを決するに当たって,個々の人間とその生活以上に「大きな単位」を理由とする人間は信用できない,ということである。判断の第一の目的として個々の人間の幸福なり生命があるのでなければならず,国家なり企業なりといったものはそれらを実現ないし保障するための手段に過ぎないと考えるかどうか,そこに私にとっての人間の評価基準を置きたいと思っている。 近年でこのあたりの考え方の違いによる対応の差が如実に出たものといえば,一昨年末に発生し,現在も世界の多くの国で収束の気配も見せていない新型コロナパンデミックの感染防止策であろう。周知のように,本邦ではなぞの検査抑制論というべき意見が感染確認当初から一