新型コロナウイルスによって甚大なダメージを被った観光地が立ち直るための1つのヒントが、日本から遠く離れたカナダ最東端の小さな島にある。北大西洋に浮かぶ最果ての島フォーゴ島(Fogo Island)。この島は、観光客と住民が共感でつながり、信頼し合って一緒につくりあげる観光を実現している。 フォーゴ島は面積が石垣島とほぼ同じ、住民わずか2500人にすぎない小さな島。観光スポットもなければ、カヌーやスキーのようなアクティビティーもない。そんな場所にカナダの首相一家やハリウッドスターら世界のセレブが観光で訪れる。ここは世界の観光業界が注目する島なのだ。だが、ここはほんの30年ほど前、政府からも島民からも見捨てられたような場所だった。 この島では、およそ400年間にわたって、Cod(コッド)と呼ばれるタラを獲ることが唯一の生業だった。しかし乱獲が進み、1960年代に外国の大型船が最後のタラを一網打