春である。2020年1月からはじまったコロナ禍もいつしか盛りを過ぎ ―― いや、より正確にはその完全な抑圧を諦め ―― 街には人波が戻ってきた。筆者が今いる出張先の東京でも、盛り場に人が戻り、街は活気を取り戻しつつあるように見える。 長く続いた蔓延防止措置の日々が終わり、我々は再び長い夜を楽しめるようになった。 そう、もう夕方早くに店に駆け込み、食事を急いで腹に詰め込み、ラストオーダーで大量に頼んだドリンクを早い閉店前に慌てて飲み干す必要はなくなったんだ。 そう思いながら小さな居酒屋の隅の席に座り、焼き鳥を頼んで、日本酒を注文する。美味い、この日本酒ずいぶん安いけど、こんなに美味かったっけ。 我々は「異常事態」に慣れてしまった そして、時を同じくして、大学にも学生たちが戻ってきた。まだまだマスクは必要だけど、桜の花が咲き誇る中、自分たちのサークルを一生懸命新入生に売り込む学生たちの姿を見る