「パパ、お金をBad Manに取られちゃったの?」 当時5歳の息子が言った。 「おかね、なくなった」 当時2歳の息子が言った。 「お金がなくなった」 当時36歳の私が言った。「地下鉄にも乗れなくなった」 私は餓えた狼のような目つきになって、Bankomat(ヨーロッパのATM)を探し歩いた。 Bankomatは難なく見つかり、オーストリア銀行のカードも通用したが(日本のクレジットカードは駄目だった)、ここでひとつの問題が生じた。 銀行口座の残高が、32ユーロしかなかったのだ。 これは、どういうことか。 不逞の輩に、たちまち引き落とされてしまったのか。 そうではない。 私はこのころ給料の大半を日本の銀行に振り込んでおり、それなのにイランとトルクメニスタンへの旅行でお金を濫費してしまい(現地でスマホなどを衝動買いしたのが敗因だった)、さらには子どもたちの学費のまとまった支払いが重なり、十数年前
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