レビューというか、読書感想文。清水マリコの小説と僕について。 ちょっと大袈裟な言い方かもしれないが、清水マリコの小説に僕は救われた。ある一時期、あの6冊の本は間違いなく僕にとって、通勤電車内の暇潰しやブログの更新ネタ以上のものだった。 子供の頃の探検ごっこの延長のような、日常の街の中のちょっと変わった建物から、非日常的な世界に入っていってしまうようなストーリー展開が良い。さした傘をクルクル回す仕草だったり、夕日の透ける細い髪だったり、狭いバスの座席で触れた体の柔らかさといった、青春時代の恋への郷愁を誘うようなディティールの描写が素晴らしい。可愛いだけじゃなく、秘密があって、嘘をついて、性格悪かったりちょっとイタかったりする女の子のキャラクターに深みがある。 色々理屈をつけて褒めることはできるんだけど、それだけでは、一時期の僕が清水マリコの小説に寄せていた深い共感──懐かしくて、ワクワクして