* ひさしぶりに姉と出会いました。意図した邂逅ではなく、偶然、エレベエタアのまえで鉢合わせてしまったのです。 2人のポケットモンスタア(子供)を従えた姉は、威風堂々とエレベエタアに乗り込んで参りました。 僕がやあと笑顔を向けると、姉はしげしげとこちらを見分し、快活な、歯切れのよい口調でこうおっしゃりました。 「なにその安っぽいメガネ」 世間にあまたある「姉」という存在は、数ヶ月ぶりに再会した実の弟に対して、この様な物言いをするものなのでしょうか。 子は親の背中を見て育つと申します。このような、姉の傍若無人な言動は、子供たちにどう映っているのでしょう。2人の子供のゆく末が心配でなりません。 僕は、心臓を射抜かれたような衝撃を、穏やかに押しと止め、口のなかでモゴモゴと、拙い言い訳を述べたように思います。 そして姉と2匹のモンスタアは去って行きました。入ってきたときと同じように、慌ただしく去って