地方を捨て、仲間を見返すため勉強する場所 今年も4月になり、新たな学生や社会人が大都市に出てくる。彼・彼女たちはいかなる図書館経験をしてきたのだろうか。 私のことをいえば、地方都市の古びた図書館での受験勉強がその後、長く図書館に「居つく」きっかけになった。 考えてみれば、地方の図書館は不思議だ。定年退職後に時間をつぶす高齢者はもちろんだが、第二次ベビーブームのさなかに生まれた私の若いときは、高校生がむしろ多くたむろしていた。 自分の過ごした地方を捨て、親を超え、仲間を見返すため勉強すること。図書館は、それを鷹揚にも許してくれる。 その是非はたしかに議論されてもよい。近年(実は昔から)、中高生が図書館の席を「占拠」することが、しばしば問題になっている。とはいえ、今なおゲリラのように、受験生たちが少ないスペースを奪い合い、勉強している姿がみられることは同じである。 図書館は、そうして地方が地方
