「衝撃的な数字」と呼んで差し支えないだろう―― 米金融機関バンクレート社が9月下旬に公表した報告書によると、米国で過去1年、年金の積み立てを取り崩した人が約3000万に上ったというのだ。 同報告書には、さらに驚くべき内容が記されていた。回答者のなんと93%が、退職後、年金だけで生活することは「すでにファンタジーの世界になった」と回答した。 年金の取り崩しに走る姿と、年金生活をファンタジーと呼ぶ姿は、米市民の経済的な余裕のなさを示している。だが、少し考えると両者は矛盾しているようにみえる。 というのも、年金だけで生活ができにくい状況であれば、年金の積み立て額を今まで以上に増やすとか、様々な方策で将来に備えるといった積極的な動きがもっと出てきても不思議ではない。だが実際には、多くの市民が将来をよけい不安定にする年金取り崩しに走っているのだ。 生活を積み立てる資金に困るほど、いまの米国人は経済的
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