中国やベトナムの名前は外国人が発音しづらいからと、ジャッキー・チェンやビビアン・スーのように、イングリッシュネームをつける習慣がある。それに着想を得ているのか、英語教育の場所でイングリッシュネームをつけ、それで呼び合いながら授業を進めるやり方がある。評論家の呉智英氏が、新聞の読者投稿欄に寄せられた、46年前の高校時代の思い出を記した文章から、『赤毛のアン』の日本語題名と英語題名の違い、「赤毛」が意味するものについて考察する。 * * * 産経新聞朝刊に「朝晴れエッセー」という読者投稿欄がある。心暖まる話、しんみりする話が寄せられ、毎月優秀作が選ばれる。読者にも好評のようだ。普通の市民の体験や思考の資料としても興味深く、一種の社会調査のつもりで私も愛読している。 十月十一日付は「先生とアン」と題した六十代の女性の作品だ。次のように始まる。 「メアリー、これが私のイングリッシュネームだった」