タグ

ブックマーク / note.com/mmmemko (2)

  • あたくしの愛しい人|潮井エムコ

    私の通っていた大学はその昔、近所でお墨付きのお嬢様学校だった。平民の私が通えている事からお察しの通りだが、現在では普通の大学である。しかしそこに勤める先生は圧倒的にお嬢様育ちのそれはそれは上品な方が多かった。 その中でも私が特に大好きだった人が文学の教授、タドコロ先生だ。上品という言葉がそのまま人間になったような人で、会話では美しい日語を巧みに操り、所作の一つひとつも実にエレガント。そしてたとえ500m離れた所に居ても「あ、タドコロ先生がいらっしゃる」と分かるくらいに素敵なお洋服をお召しになっていた。お洋服、お帽子、お鞄、おは全て同じ色味でコーディネートされ実に鮮やかで、どれもタドコロ先生のために作られたかのような個性的な逸品ばかりだった。 ある日私が先生のお召しになっているしなやかなレザーのヒールを見て「すてきなですね」と声を掛けると、 「こちらのは、あたくしが20歳の頃に買った

    あたくしの愛しい人|潮井エムコ
    kamanobe
    kamanobe 2022/10/07
  • 女子高生の私が大好きな家庭科の先生に裏切られた話|潮井エムコ

    家庭科の授業ではいつも先生に驚かされる。 その日も私たちは週に一度の楽しみとして家庭科室へやってきた。体験的な授業を多くされる先生だったため、座学は久々だった。今日は何をするんだろうと期待に胸を膨らませながら筆記用具を手に席に着くと、先生は言った。 「今から小テストを始めます。」 先生のその一言は、これから始まる楽しい時間の終わりを宣言したも同然だった。 テストという単語は我々学生にとって、条件反射で嫌悪感を抱いてしまう存在である。筆記用具だけを持って来させたのはこの為か、と授業を楽しみにしていた私は深いため息をついた。 裏返しで回ってきたプリントをお通夜のような気分で後ろに回し、机に伏せる。 「今からするのは指示遂行テストです。しっかり問題をよく読んで、その通りに行動してくださいね。しっかりと、よく読むんですよ。制限時間は3分です、はじめてください。」 あまりに短すぎる制限時間を宣告され

    女子高生の私が大好きな家庭科の先生に裏切られた話|潮井エムコ
  • 1