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ブックマーク / zerokkuma.hatenablog.com (11)

  • 下品な抵抗 - It all depends on the liver.

    「りささん」 ベルリンのカフェで原稿を書いているとき、聞き覚えのある声に名前を呼ばれて驚いた。エディンバラで知り合ったTが手を振りながら立っていた。たしかにちょうど同じタイミングでベルリンに滞在するというのは聞いていて、ちょっとくらい会えたらいいねという話はしていた。しかしその待ち合わせ場所でも待ち合わせ日でもなく、別にベルリンの中心地でもないし観光エリアでもない。聞いてみると、わたしが滞在しているシェーネベルク地区の隣にあるクロイツベルク地区に滞在しており、作業ができるカフェを探してさまよった結果、同じカフェにたどり着いたのだという。ベルリンにはカフェが少ないわけではないのだが、wifiや電源がしっかり利用でき、(長時間の作業は困難なスツール席に限定されているが)PC作業OKと公言されている、雰囲気やフードも良質なカフェはたしかに近隣でここくらいで、わたしも4日ほど通い詰めていた(結局1

    下品な抵抗 - It all depends on the liver.
    kamanobe
    kamanobe 2022/11/12
  • 天才と女癖 - It all depends on the liver.

    オスロに来ている。今年観たノルウェー映画 「The Worst Person in the World(わたしは最悪)」がとてもよかったからだ。調べると、作のロケ地はオスロのオフィシャルトラベルガイドにまとめられており、ロケ地訪問をすることに決めた。すでにオスロに三日、北極圏のロングイェールビーンに四日滞在し、あと一晩オスロに泊まって、明日ロンドンに帰る。今は今日泊まる宿のそばの喫茶店でだらだらしているところだ。雰囲気が私の好みすぎて、なぜ最初の三日に気づいてなかったのだろうともう惜しい。 いつか北欧に行きたいとは思っていたが、「北欧」は漠然としており、ノルウェーのこともオスロのこともほとんど知らないままだった。宿を予約しようとして驚いた。これまでに行ったどの街よりも高い。慌てて検索すると、旅系Youtuberも「物価高すぎ!」のような動画をあげている。ホテルでのんびりくつろぎたかったの

    天才と女癖 - It all depends on the liver.
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    kamanobe 2022/09/19
  • 街と慰め - It all depends on the liver.

    この街に来る前、この街のことを書かないかという提案をいくつかもらった。断ってしまった。わたしにその資格はないと思った。一年しかいない予定だし、年末年始に一時帰国するためのチケットをとっているし、最初からかなり腰砕け感があった。なんだかんだ真面目なので、引き受けると頑張って街を探索せねばと義務感を持ってしまい学業が疎かになりそうなのも心配だった。判断は正解だった。秋〜冬は日照時間の短さによると、授業についていくのに精一杯なのと、東京に置いてこれなかった疲れとで、ぼろ雑巾のようだった。世界がまだコロナでぴりぴりしている時期でもあったから、毎朝散歩してる公園の鳥や栗鼠のことだけツイートしていた。しても消していた。 越してきて、来月で一年になる。年末年始の一時帰国はコロナ発症により断念した。無料でフライトチェンジできたので、それでも四月に帰国した。一ヶ月以上いて、とにかく湯船と温泉につかりまくっ

    街と慰め - It all depends on the liver.
  • 夏が少女に終わりを告げたーー中島梓『小説道場』 - It all depends on the liver.

    この作品はおそらく、文学界の新人賞に投稿されてもちっともおかしくないし、あるいはそういう新人賞受賞作品として登場してきたって特に見劣りがするわけでもないような気がする。JUNE、というのはあるいは「この小説以前」か「この小説以後」なのかもしれないなあ、という気がするのだね。 (中島梓『小説道場』第七十一回、榎田尤利「夏の塩」への評) 大学院でBLについての論文を書く過程であれこれ資料を読んでいる。先日は『密やかな教育: 〈やおい・ボーイズラブ〉前史』(石田美紀)についてブログで紹介した。 zerokkuma.hatenablog.com 論文全然書き終わってないので、当は「BL以前」のことは忘れて、BLそのものやファン研究の英語文献を読まないといけないのだが……JUNEに連載されていた中島梓(栗薫)『小説道場』を腰を据えて読み始めたら、面白すぎて電子版5冊を一気に読了してしまい……関連

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    kamanobe 2022/06/27
  • ひらりさ×瀬戸夏子トークイベント「女と女」選書リスト - It all depends on the liver.

    2021年5月29日、瀬戸夏子さんをゲストにお呼びして、同人誌「女と女2」の刊行記念イベントを行いました。来場・視聴くださった皆さん、ありがとうございました。 bookandbeer.com ログインした #女と女 pic.twitter.com/9bUowVTjnE — ひらりさ (@sarirahira) 2021年5月29日 会場・オンライン合わせて60人以上の方にお申し込みいただいたそうです!嬉しい。アーカイブ視聴の予定の方、ぜひお忘れなく……(笑)。 そしてそもそもイベントのきっかけである「女と女2」も既にかなり売れたようです。欲しい方はお早めに! 【新入荷】『女と女』第二号入荷いたしました。 店内入り口すぐのイベント関連コーナーに展開しております。 また5月29日にはひらりささんと瀬戸夏子さんをお呼びした刊行記念イベントも開催いたします!https://t.co/9vqmQNA

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  • 彼女たちが革命だった頃ーー『密やかな教育: 〈やおい・ボーイズラブ〉前史』 - It all depends on the liver.

    このJUNE―BLというゲームは、このゲーム に参加しているだけで、ホモソーシャルの分解というフェミニズム的な行為に加担している仕組みになっている、つまりゲーム自体にフェミニズム的実践がそもそも組み込まれているのだが、ゲーム体のパッケージにはフェミニズムという言葉が記されていない。ー世界の合言葉は《JUNE》――中島梓「小説道場」論 瀬戸夏子(SFマガジン2022年4月号収録) 今年の前半は、立て続けにBLについての評論を書く機会があった。 SFマガジン 2022年 4月号 早川書房 Amazon SFマガジン4月号BL特集で「腐女子」のアイデンティティについて、小説現代5・6月合併特集号でBL出身作家がジャンル外で活躍している現状について執筆した。2007年ごろに「ユリイカ」が立て続けに出していたBL特集はすべて当時購入して持っていたのだが、15年経って読むと当にさまざまな発見があり

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  • 逸脱と波打ち際ーー『非国民な女たち 戦時下のパーマとモンペ』 - It all depends on the liver.

    非国民な女たち-戦時下のパーマとモンペ (中公選書) 作者:飯田 未希 中央公論新社 Amazon 『だから私はメイクする』というを編著した。2018年のことだ。 自分が「おしゃれ」がわからない人間なのでみんなの事情を知りたいというところから始まった企画だったのだが、編集していく中で、自分の好きに装うことは「日々の生活への抵抗」となるのだ、というメッセージが立ちあらわれてきた。書籍版の見返しにはこんな惹句を載せた。 『自分がどうありたいか』を知るために、私たちは今日もおしゃれして、”社会”という名の戦場へ向かう。 『非国民な女たち』は、まさに社会という名の戦場で、おしゃれのために抵抗した女たちについての研究書だ。年始に書店の棚で見かけて手に取ったのだが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う幾度もの緊急事態宣言の発令や、たびたび喧伝される「不要不急」の文言にうんざりするうちに、こののこと

    逸脱と波打ち際ーー『非国民な女たち 戦時下のパーマとモンペ』 - It all depends on the liver.
    kamanobe
    kamanobe 2021/08/12
  • 「ルックバック」感想(あくまで自分のための) - It all depends on the liver.

    ※この記事では藤本タツキ「ルックバック」のネタバレ、及び関連する2019年7月18日の京都アニメーション事件の話に触れています。 2019年7月18日木曜日、東京はじっとり蒸し暑かった。 朝から薄暗い曇り空で、湿気がからだにまとわりついてくるのがたまらなく嫌だった。私の頭は、映画ナタリーの告知記事を見てから楽しみにしていた、「ダンケルク」特別上映チケットを手に入れられなかった悲しみで占められていた。池袋で7月19日にオープンするグランドシネマサンシャインの前夜祭として上映がアナウンスされ、最新のフルサイズI-MAXシアターのことが、映画好きの間で話題になっていた。まあ、どうせ仕事あったからしょうがない。早く帰って、締め切りが近いのに後回しにしていた、あの骨の折れる原稿にいよいよ手をつけよう。 その週はいくつか、人間関係における無為な振る舞いで消耗しており、それも憂だった。例えば、過去に決

    「ルックバック」感想(あくまで自分のための) - It all depends on the liver.
  • アウシュヴィッツには別に何もなかった - It all depends on the liver.

    もう半年以上経ちますが、転職のための有給消化期間を使って、2015年11月にポーランド・ドイツ旅行に行ってきました。 一番の目当てはアウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所の見学。 中学生のころ『戦場のピアニスト』を観て衝撃を受けてから(なんかロマンチックな映画と勘違いしていたので、ユダヤ人のおじいさんが車椅子ごと逆さまにベランダから落とされるシーンで衝撃を受けた)、ぼんやりとナチスドイツとその戦争犯罪について関心を持っていました。 中高がプロテスタントだったせいか、道徳の授業のかわりに「聖書」の授業というのがあり、そこで『荒れ野の四十年』原著を読む課題があったり、個人発表のテーマで『夜と霧』を割り当てられたのも大きかったかもしれません。 また、当時、唐沢寿明主演の『白い巨塔』にハマったところ、そのなかで唐沢演じる財前が学会出張の折りにアウシュビッツに立ち寄り、自分の犯した罪について考えるきっか

    アウシュヴィッツには別に何もなかった - It all depends on the liver.
    kamanobe
    kamanobe 2019/03/19
  • かわいくて最強にきもちいい資本主義――「バーレスク東京」に行ってきました - It all depends on the liver.

    「資主義に屈してるって感覚、ありますか?」 8月に『浪費図鑑』というを出し、いろいろ取材をしてもらうことが増えたのですが、そのなかで印象に残った質問のひとつです。『悪友』『浪費図鑑』の刊行を機に、お金お金の使い方について考えることは増えたんですが、なるほどな〜〜〜と思いました。 その質問の時点ではちょっとピンときてないところもあったのですが、昨日、ある場所に行ってきて、「資主義に屈するという感覚」をたっぷりと味わってきました。 六木の「バーレスク東京」です。 burlesque-roppongi.com バーレスクという言葉、映画の「バーレスク」で聞いたことがある方も多いかもしれません。今調べたら、言葉の意味としては「踊りを主にした喜劇」ということらしいです。女性が歌い踊りショーをするところ、という認識は私のなかにもあったのですが、映画の「バーレスク」はサントラしか聞いたことがな

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  • 締め切りとのつきあいかたを反省してみる - It all depends on the liver.

    どんな仕事でも「納期」はあるとはいえ、この世のあまたの仕事の中でもっとも熾烈に締め切りをめぐる攻防を続けているのが、編集とライター。 時間にルーズと思われがちな人間なのですが(プライベートではたしかに事実……)、根が小心者ゆえか、学校の宿題はいつも期限内に提出してきたし、業のかたわらライターの仕事をするようになってからも、締め切りの1日前には必ず出すようにしてきました。 ……が、この3月。調子に乗って仕事を引き受けすぎたのと、「あまり急ぎではないので~」という言葉に甘えた結果、いくつかの仕事で一度決めた締め切りをのばしてしまいました。反省のうえ、未来の自分のために「締め切りを守れている」ときに意識していることを書いておこう~~と思います。 ●そもそも守れるスケジュールで締め切りを調整してもらう これ当に大事ですね……。だいたいの依頼の場合、「いつまで」と先方から締め切りも提案されますが

    締め切りとのつきあいかたを反省してみる - It all depends on the liver.
    kamanobe
    kamanobe 2017/03/15
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