とにかくゲームが作りたかった。ずっと親にねだり続けて、小学校5年生の時に願いがかなった。誕生日プレゼントにPC(パソコン)をもらえたのだ。すぐに図書館で「マイコンBASICマガジン」(電波新聞社、現在は休刊)を借り、書いてあるコードをPCに入力していった。気付いた時には、プログラムが書けるようになっていた。 サイバーエージェント社長の藤田晋が「国宝級」と絶賛する同社の主席エンジニア、名村卓の少年時代はIT抜きには語れない。成長するなかで、システムやサービスの全体像を見極め、一人で「もの作り」を完結させられるスキルを、当然のように身につけた。 名村がエースになったきっかけは、2008年から「アメーバピグ」の開発責任者を務めたことだった。アメーバピグとは、ユーザーが自分に似せたアバター「ピグ」を作り、仮想空間で別のユーザーと交流したり、ゲームを楽しんだりするサービスのことだ。