これはSF作家イアン・ワトスンの、「早すぎた」怪作、ではないか? 異形の世界で展開する、ハードコア・サイバー・バイオ美少女ポルノSF小説(笑)。 と言いつつ、「異形の未来」を描いたSF小説として、エンタテインメントしてたのではないかと。確かに描写は精緻で過激だが、決してそれだけではない。「アンチ・ユートビア小説」としても読める。 登場する「異形」の少女たちは、ゲームやネットの世界で流通する記号的「美少女」をすぐさま連想させ、日本で出版されたことに殆ど違和感がない、ということの方が実は驚きだったり。 * 遠い未来、市街地の沖合のコンクリートの島で「製作」される、異形のカスタム・メイド・ガールたち。通常の倍ほどの大きさの紺碧の瞳を持つ少女、七つの乳房を持つ少女、毛皮と爪を持つ猫娘、両性具有体、翼を持つ少女、シャム双生児……。少女たちはクライアントの注文に応じて様々な姿態を遺伝子レベルで植え込ま