「勇者が巨大侵略UFOを撃退すれば、次の日には防衛法が整備される」「探偵が妊婦連続殺人事件を解決すれば、出生率が上昇する」などなど、社会問題を象徴する「物語」を次々と生成しては現実と直結させる「日本問題象徴介入改変装置」。この装置によってライトノベル的な予定調和物語が日常のものとなり、現実と物語に対して冷め切ってしまった人々が暮らす街。といったあたりが、本作の骨格となる舞台と心性です。 装置によって生成されるライトノベルの「お約束」が徹底的に揶揄的な態度で語られていくなど、本作はきわめてメタライトノベル的な要素が全編に(しかも否定的に)散りばめられています。ただし、本作が批判しようとする対象は決して「ライトノベル」に限られるわけではなく、むしろ「物語」の恣意的な性質そのものを糾弾しているように見えました。だから、本書を「ライトノベルのお約束批判」と評して話を終えてしまう向きが多いのは、ちょ