「絶対絶対なんていうけど、物事に絶対なんてことは絶対にないんだからね」と(中川師匠が)奇妙なことを口走ったことがある。二律背反の見本みたいなテーゼだけれど、時間が経つほどに、あれは名言だったなあと思えてきてしょうがない。ある国や、ある文化圏で絶対的と思われてきた「正義」や「常識」が、異文化の発想法や価値観の光を当てられた途端に、あるいは時間的経過とともにその文化圏そのものが変容をとげたせいで、もろくも崩れさる現場に何度立ち会ってきたことだろう。これがこの本のテーマといえる。 第13章は「強みは弱みとなる」という題で男の短小コンプレックスなどをからかいながら日本のマスコミが”系列化”し肥大化したことによって起きている問題を抉る。 大きくなって強くなったがゆえに弱くなったマスコミ。 オームの犯罪をかよわき江川紹子さんが単身で果敢に取材・告発し続けていたのに大新聞やテレビ局が信じがたいほど鈍感で