『東大なんか入らなきゃよかった』(池田渓/飛鳥新社) 日本の知の最高峰にある東京大学。ここに入学して、無事に卒業できた者は、一流企業や政治の中枢・キャリア官僚など、さまざまな成功が約束されている。東大に入ることは、人生の幸福を手にしたも同然。だから日本中の子どもたちが東大を目指して猛勉強する。 ――というのは、東大を深く知らない人が持つイメージだ。この本を目にした読者は、東大生やその卒業生に対するイメージがガラリと変わるはずである。 東大卒業生で書籍ライターの池田渓さんは、自身の経験や同じ卒業生たちへの取材を重ねて、『東大なんか入らなきゃよかった』(飛鳥新社)の冒頭でこのようにしたためた。 東大は人生の幸福を決して約束などしてくれない。 むしろ逆に、東大に入ったある種の人間は、東大に入ったがゆえにつらい人生を送るはめになる。個人的な感覚では、「人生がつらくなってしまった人の方が多いのではな