IT技術の発達で、会社が従業員の行動を簡単かつ正確に管理できる時代になった。 ◇ 労働組合の反対で、厳しい管理が断念されたケースもある。 奈良市が手のひらの血管の情報を読み取る「静脈認証」で、職員の出退勤を管理する計画を発表したのは今年2月。 これまでは職員証を機械にかざして出退勤時間を打刻していたが、職員証をほかの職員に預けて帰ってしまい、同僚に打刻させる「代打ち」が横行。業を煮やした市側が、99%超の確率で本人認証できる方法として、4月からごみ収集を担当する環境部職員260人に導入する方針を発表した。 組合側は「職員を犯罪者扱いし、個人の身体というプライバシー情報を収集するのは許せない」と猛反発。3月の市議会でも「過剰な管理」と指摘され、7台の認証機の設置費150万円を盛り込んだ新年度予算案は認められなかった。