中国南部の広東省広州市に三元里という街がある。アヘン戦争中の1841年、上陸した英国軍と地元住民が武力衝突した場所で、中国政府に「愛国主義教育」拠点にも指定されている。それから170年余り-。この街は今、「リトルアフリカ」との異名で呼ばれ、再び外国人と対立している。10万人以上という不法滞在のアフリカ人が住み、地元住民とのトラブルやさまざまな犯罪が起きている。現地から報告する。(中国南部三元里 矢板明夫、写真も) 広州中心部にある広東省政府庁舎から西へ徒歩で約20分。歩道橋を渡ると、中国とは思えない光景が目の前に広がる。行き交う人々の半分以上が黒人系で、強い香水の臭いが鼻につく。 広東省当局者によると、省内には推定で30万人以上のアフリカ人が住んでいるが、そのうち合法的な滞在資格を持っているのはわずか3万人前後。不法滞在率は実に90%を超える。 5年前に観光ビザで中国に入国したというコンゴ