多数決」という手法がある。ほとんどの民主国家において、意思決定の際に用いられる手法だ。しかし、多数決に依存せざるを得ない民主主義は、現代社会が引き起こす様々な課題に上手く対処できていない。
(2014年10月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 学生と香港政府の掛け金の高いポーカーゲームがありがたいことに流血沙汰もなく終わりに近づく中、民主派デモが香港にどんな長期的インパクトを与えるか考えるのも早すぎはしないだろう。 まず結論から述べるなら、この戦いの結末はあらかじめ決まっていた。香港は「真の」民主主義を採用すべきだとする学生たちの中核的な要求は、最初から通る見込みがなかった。 胴元が必ず勝ついかさまポーカー 北京は8月末に中央政府としての決定を言い渡し、香港の選挙規則に厳しい制限を設けていた。そのため、北京が学生たちの要求に屈することは、まず考えられなかった。 もしこれがポーカーゲームなら、それはいかさまだった。胴元が常に勝つのだ。 確かに、梁振英行政長官が率いる香港政府と民主派の活動家の「交渉」がこれから行われる。だが、香港の当局に交渉できる余地はほとんどない。 出され
イラクも遂に崩壊? イスラム教過激派グループISISの暴力を恐れてイラク第2の都市ホムスから逃げ出した家族 Azad Lashkari-Reuters 89年6月4日未明、天安門広場に戦車が入ってきたとき、1カ月以上にわたって続いた民主化運動もこれで終わりだと、誰もが思った。多くの学生や民衆が広場を後にする一方で、そこを動こうとしない人も数百人(あるいはもっと)いた。 そこまでは予測できた。予想外だったのは、あれから25年たっても、中国の民主化が夢のまた夢であることだ。いや、もう夢でさえないかもしれない。 当時は多くの専門家が、天安門事件とソ連崩壊によって中華人民共和国は存亡の危機にさらされるだろうと考えた。89年11月にはベルリンの壁が崩壊して東ヨーロッパの民主化が一気に進み、2年後にはソ連が正式に解体。世界中が民主化に向かって進んでいるように見えた。 実際、一時的だが民主化のドミノ現象
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