日本で累計1500万部以上が売れたというSF大河小説『銀河英雄伝説』(田中芳樹著)の中国語版がこの秋、中国でも出版されることになった。これまでもネットでの無断転載や海賊版などで読むことはできたが、正規版の出版は大陸中国では初めて。この作品は中国の若者の間で「宇宙版三国志」と称される圧倒的な支持を受けており、都市生活者や学生たちの間ですっかり定着した「村上春樹現象」と並んで、日本発の小説の人気ぶりを表している。 『銀河英雄伝説』(略称・銀英伝)は広大な銀河系を舞台にしたスペースオペラ。「銀河帝国」と「自由惑星同盟」両陣営の攻防を軸に、若き2人の英雄ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーの生涯を中心に描く。 ジャンル的にはSF小説だが、「科学技術的な描写は重んじず、対立する陣営のイデオロギー、人物像、権謀術数、歴史の流れを正面に出し、『後世の歴史家』の観点から叙述することで、さ