「俺はチャンスをピンチに変える男だ…」「責任を取るためにお前ら部下がいるんだろう?」「なるへそ」が口癖で、在職時はその激しい言動で僕ら部下の心を熱くかき乱し、誰からも惜しまれずに2年前に自称寿退職された部長が人知れず亡くなっていた。 部長の死去に地球上で最も落胆しているのは僕だろう。なぜならクレーム処理に出向いた部長が「ミスの原因は…強いて言えば人間の業…ですかね…」「腹を切って話をしましょうや…」と言って新たなトラブルを起こすたびに僕が火消しを任されるなど、仕事の上で散々お世話をしたこともさることながら、結婚パーティーで締めのスピーチをしていただいたように公私共に大変に世話をしたからだ。 あのスピーチは今も語り草だ。「え〜最後になりましたが、長年連れ添った女房との協議離婚が先日成立したことを皆様にご報告させていただき新郎新婦へのお祝いの言葉にかえさせていただきます…」その後の僕ら夫婦の妊