東京電力福島第1原発の汚染水問題で福島などの海産物の輸入を禁止した韓国が、自縄自縛に陥っている。放射能にまつわる風評がひとり歩きし、あらゆる海産物に波及、自国の水産業者が深刻な販売不振に悩まされているのだ。根拠のない噂やデマがインターネットを介して「放射能怪談」として拡散し、調味料や生活用品も売れなくなる事態に発展。「実体のない恐怖」で打撃を受ける韓国経済の現状をノンフィクションライターの高月靖氏がルポする。 日本のお盆にあたる韓国のホリデーシーズン「秋夕(中秋節)」(今年は9月下旬)で異変が起きた。 この時期は食品関連のギフトセット商戦がたけなわになる。例年なら定番であるイシモチ、タチウオといった海産物が飛ぶように売れるが、今年は「前年比30%の下げ幅で売り上げを落とした」(現地事情通)という。 この傾向は、韓国の海産物全体に及んでいる。大手流通チェーンによると、8~9月の海産物の