ぼくの育ったところは田舎すぎて駄菓子屋が無かった。 小学校の登下校の道のりを思い出してみても、思いつくのは田んぼ、製材所、畑、脱穀所、牛舎、竹やぶ……駄菓子屋がありそうな場所はまったくない。 駄菓子屋はもっと人の集まる繁華なところにあるものだと思っていた。そう、ぼくにとって、駄菓子屋は都会の象徴だったのだ。 その頃は、学校帰りに駄菓子屋で酢だこさん太郎を買い食いして塾に行く……というようなアーバンなライフスタイルにものすごく憧れたものだった。 ぼくにとって都会の象徴である駄菓子屋。そんな駄菓子屋が、そこら中にある場所が名古屋にあるらしい。