経営理念に、「顧客志向」や「顧客第一主義」を挙げる会社は無数に存在する。だが、その徹底ぶりとなると、先頃取材した小川の家に並ぶ会社は少ない。 小川の家は、長崎市内に事務所を構える工務店だ。従業員数5人と、規模は小さい。ただ、少しずつではあるが、全国的にその存在を知る人が増えている。3年ほど前からは、損益分岐点の年間4~5軒を超えて、年間10軒前後を安定的に受注できるようになった。 人づてに評判を聞きつけ、昨年暮れに東京の編集部から、小川勇人社長のいる長崎に向かった。「施工主が描くマイホームの夢は、かなえない」と言う小川社長から、詳しく話を聞くことにした。 「ひきこもりの原因は間取りにあり」 小川社長はかつて、父親の経営する小川工務店で働いていた。熊本大学を卒業後、準大手ゼネコンで1年間勤務した後、1997年から家業を手伝うようになった。 当時、小川工務店は自社で分譲地を造成したものの、不景