教養講座 安倍新政権の金融政策の経済学的根拠について 浅田 統一郎/中央大学経済学部教授 専門分野 マクロ経済学、特にマクロ経済動学 2012年12月16日に行われた衆議院総選挙で、安倍総裁率いる自民党が議席を総選挙前の2.5倍に増やして過半数の議席を獲得し、連立政権を組むことを予定している公明党を含めると衆議院の3分の2以上の議席を占め、史上2度目の安倍政権が誕生することが確実になった。総選挙前に政府与党であった民主党は、議席を総選挙前の4分の1以下に減らす大敗を喫した。今回の総選挙は合計12の政党が乱立して行われたが、結果的に「脱原発」「憲法改正」等は大きな争点にはならず、そのかわりに大きく浮上したのが「景気対策」、特に「金融政策」であり、結果的に自民党の圧勝に終わった。現に、テレビで報道された世論調査によれば、選挙民の約半数が、投票にあたって「景気対策、雇用対策」を最も重視したと答え